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B  施餓鬼会せがきえ卒塔婆そとうば供養
 お盆とともに夏の行事の一つとなっているのが施餓鬼会です。本来この施餓鬼会せがきえ施食会せじきえはお盆とは別の行事です。地域によって5月の連休中や、年忌、百ヵ日の法要などにあわせて行う場合もあるようですが、大半の地域ではお盆の期間に行われています。その際にも、卒塔婆を建てて供養を行います。
 仏教で言う餓鬼(がき)とは、いつも飢えと渇きに苦しんでいる亡者のことです。餓鬼の世界はまさしく飢えの世界で、食物があっても食べることが出来ない世界です。食べても喉がハリのように細いので飲み込むことが出来なかったり、食べようとして手にすると、その食物が燃え尽きてしまいます。このような餓鬼に飲食(おんじき)を施して救い出すのが施餓鬼です。
 施餓鬼については「焔口餓鬼陀羅尼経えんくがきだらにきょう」という経典の中で次のような逸話が説かれています。
 お釈迦様の弟子の阿難尊者が修行中、餓鬼に余命3日と告げられ、助かりたくば餓鬼や苦の衆生を供養するように言われます。お釈迦様に救いを求めた阿難尊者は、餓鬼を供養する秘呪を授けられました。それにより寿命は延長し、以後20余年にわたってお釈迦様にお仕えすることができたのです。
 自分の力でその苦しみから抜け出す術はない餓鬼にとって、施餓鬼会が唯一の救いになるとされています。施餓鬼会の法要では、お寺に設けられた施餓鬼檀(棚)に「三界万霊」と書いた位牌を安置し、檀家の人々が持ち寄った込めや野菜、果物、菓子など諸々の食物などと一緒に卒塔婆を建てて法要を行い、亡者を食おう士、その滅罪追福を祈るのです。
 私達は、たべることにより生命を維持しています。その大切さをよく考え、自分や家族だけではなく、広く他人や、さらには動物にも、布施の心で、食物を与え合おうという考え方といえます。施餓鬼会を行い、三界万霊を供養することは、その功徳が施主やその先祖まで及び、先祖への追善ともなります。百ヵ日や年忌の法要の時には、できるだけお寺に頼んで施餓鬼会も営んであげたいものです。
 一部地域では、施餓鬼会の際、通常の板塔婆ではなく、薄い経木でできた水塔婆や紙でできた塔婆を建てるところもあるようです。
◆ なお、卒塔婆をたてない浄土真宗では、施餓鬼会の法要も行いません。
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